平面構成(イメージ構成)

平面構成(イメージ構成)

条件に従って「流れ」をテーマに平面構成しなさい。諸条件は下記の通り。

・B3ケント紙水張り立て位置使用、用紙中央に縦40×30cmの枠を作図、その中を画面とする。

・構成要素は任意の大きさの「正円」と「自由曲線」とする

・構成要素の数は自由

・図形と線によって区切られた面を任意の色で平塗りすること

・正円は画面から切れてもよい

曲線は画面の端から端まで達するものとする

・各線は面をわけるための分割線とし厚みを持たせてはならない

 

 今回の課題はいままでやってきた平面構成(幾何構成)と違い、テーマを表現するという課題だった。これまでの平面構成のときもじぶんでテーマを勝手につくって制作していたので「お、これは行けそうな課題だ」と内心自信を感じていた。

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 で、やってみた。エスキース。構想はすぐに浮かんだ。だれよりも早かったと思う。自分は「」の持つ動きを借りて「流れ」を表現することを考えた。「流れ」を感じるものは他にもたくさんある。たとえば川の流れ、煙の流れ、風の流れなど。なぜ自分は渦を選んだか。渦はほかとはちがってA地点からB地点C点D地点…というようにある中心から無数の場所に拡散していく、または無数の地点から中心に収斂していく「流れ」を持っている。一方、渦以外の流れはA地点からB地点という単純な「流れ」を持っている。たぶん、AからBの流れをイメージする人が多いと思ったので自分はあえて渦を選んでみたのだ。差別化をはかるために。

 

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 だけど、この渦の選択は誤りだったかもしれない。40×30cmという小さな画面のなかで渦のような複雑な動きを表現するのは難しかったからだ。どうしてもわかりにくいものになってしまう。そのため、渦にある多数のうねりのうちひとつを選び、その一本をほかのうねりよりも強調してみせることにした。そうすることで見たときに印象がぼやけるようなものになることを防ぐ。

 

 ここで先生から駄目だしが入った。「形が固い」と。「あまりにも計算されて型にはめこまれたよう」だと。うーん、この意見にはあまり納得できなかった。曲線だからといって必ずしも曲線らしくあるべきではないと思ったから。じぶんの意見を言ってみたが賛同されず変えることになった。これは仕方がない。課題の善し悪しを決めるのは作者ではなく見るひとなのだから。いいなあ、と主観的に思うものよりも、客観的にいいなあと思えるもののがよいものである。試験をはじめ、デザインの現場においては重要なことである。くやしいが変えた。

 

 変えるといっても簡単に形をつくることができずにただただ時間が過ぎた。というか、つくったものをことごとく批判されたからだ。つくってはやり直す繰り返しの時間は結構きつかった。結局みんなよりも1日以上遅れてつくりあげた。  

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 最終的に火山から噴煙がのぼる様子を借りて流れを表現することにした。つまり、下から上への流れ。物体は上から下に落ちる。こういう固定概念が人間の頭にはあるのでたぶん、下から上への流れを表現することが流れの方向のなかで一番むずかしいと思う。それに下から上へ行くものはあることにはあるが基本的にはゆるやかにあがるものばかりだ(例、けむり、ゆげなど)。だけどうまく表現したらかっこいいと思ったので採用した。

 

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 結局完成には至らなかったが、時間切れで強制終了。写真のホワイトバランスが狂ってます。黄ばんでしまってます。 

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 工夫した点

 ・下から上への「流れ」を表現するために、下を重たい色、上に軽い色を配色をした。

 ・円を配置した。下から上へ行くにしたがって大きさを変えた。動きを出すことを表現。つながりをもたせるために円の色は固定した。

 ・上に軽い色だけを乗せると画面上部がスカスカになってしまうため、円の色は強めにすることで上部が画面の外に漏れることを防いだ。

 ・絵に空間をもたせるため、深みをもたせるために、3つの煙が立ち上がっている様子を表現した。それぞれ赤と青と黄の煙。それぞれがかさなりあっている様子をねらった。

 ・ヘチマなどのつるがつるらしく見えるには直線がいるように、けむりの巻いた感じを出すために赤い煙だけは重色から軽色というグラデーションを避け、強い線として見せた。また面積を小さくすることで目立ちすぎないようにした。

 ・この絵を見たときの印象が単純で陳腐なものにならないように色や配色にこだわった。「あ、さわやかだね」「お、力強いね」「きれいだね」のように簡単には形容できないものにしたかった。爽やかなようで爽やかでないような感じ。なんだこれは?、と思わせることで見る人を絵の前で立ち止まらせそうことを狙った。素通りさせないために。なぜか、配色がGoogleっぽくなっていた。あかん笑

 

講評でいわれたこと、それに対する感想。

 ・ベースカラーをつくりなさい。

 一応、画面の背景部分である薄いピンクをベースにしたつもりでいた。だが、あまりにも微々な色味になってしまいほとんど白く見えてしまった。

 ・円の繋がりみえにくい。

 一番上の一番大きな円が円のように見えなくなってしまった。色を塗ったときに円周の線を少しつぶしてしまったのが原因だと思う。また、そもそも円の切り方をもうすこし円にみえるところで切るべきだった。

 ・印象がわかりにくい

 これはある意味狙い通りだった。このわかりにくいとは「流れ」がわかりにくいではなく、みたときの印象がわかりにくいというもの。爽やかだ。とか、シックだ。とかの部分。じぶんが一番こだわり工夫した点であった。だが、それはいけないことだったみたい。自分として流れがわかりにくいということは求められたことから逸脱しているので絶対にだめなことだと思ったが絵を見たときの印象はわかりやすくなくていいのかと思った。それにわかりやすくつくろうとしてわかりにくくなってしまったのではなく、わかりにくくしようとしてわかりにくいものになったものであったため、なんとも言いがたい気分になった。作戦から失敗していたみたいでした。

 ・火山の山部分の色選びがわるい

 これは本当にそうだなと思った。ためしに山部分を隠して絵をみると下から上へと煙が立ちこめる様子がわかりやすくなるような気がした。反省してます。

 

その他、全体や各人に対する先生のコメント

・白色を使うときは抜けすぎないことに注意。

・対比の利かせ過ぎ、なさすぎに注意

・やわらかい雰囲気を出したいときでも、アクセントはしっかりとつくる。また、必ずしもアクセントは彩度の高い色を置く必要はない。わざとらしくみえたり、下品に見えたりする。周りの色との関係を見てアクセントの色を調整することができる。

・一番見せたい形や線はしっかり見せるようにする

・動きを見せるためには。たとえば、円の場合。複数個の円を用意し、全てにピント合わせずひとつの円に対し2,3個のボケた円を用意すること。

以上

 

 かたちをつくるのはむずかしい。わかりやすい、つまり「流れ」を感じやすいものにしてしまいすぎると大味な薄っぺらいものになる。だからといってむずかしく、要素詰め込みすぎたり、たくさんの色や面を使ったりするとうるさくなってしまったり、収拾がつかずまとまりに欠けるものになったりする。

 でもやっぱり一番この平面構成を難しくさせているのは採点基準が不明瞭だからだ。どうやらこれを見つけるのも制作者の仕事みたいです。これ本当に苦しい。答えのない問題を解かされているような感じだ。幸い、芸大の平面構成は幾何図形ではなくモチーフを構成するもので多少基準がわかりやすくなっている。まあ、描写力が今度は問われるので採点基準がわかったところで一息つける問題ではないが。それに、芸大も描写だけではない時代に変わりつつある。正直描写以外のところみてほしいのでじぶんとしてはラッキーと思っている。まあ、今回もだけどじぶんの作品はいつもひとりよがりなんだけどね。反省してます。もうちょっと冷静に客観的に見たいです。

 

 鉛筆は毎回持ち帰っている。鉛筆をカッターで研ぐ時間っていいわあ。

 心も研ぎすます感じ、感覚を研ぎすます作業みたい。

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