夏祭りに露店でアルバイトをして震えた話

先日、友達に誘われて夏祭りにいってきた。立ち並ぶ露店をみていたら的屋でのアルバイトを思い出す。ので、書く。

 

求人は意外にもタウンワークに載っていた。記載されていた番号にかけると普通のおばちゃんみたいな女性が出た。なんだろうこの感じ。企業の採用担当のひとと話しているというよりほんと「おばちゃん」って感じ。当日の集合場所は県営住宅の一室であった。醤油の匂いが染み付いた部屋はよくわからないダンボールで埋め尽くされ、狭く薄暗くその上ほこりっぽかった。強面のおじさんに促され、白いワンボックスに乗り込み現場におもむく。

慣れた手つきでたこ焼きの生地を混ぜ出したおじさん。さっきまで車の足元にあった大きな泡立て器をつかって。いっぽうでは射的の景品を並べるおばさん。在庫の入ったダンボールにはダイソーの文字が書いてある。1回700円なり。ほー。

じぶんはかき氷の担当になった。機械の説明を受けていると一発目の花火が上がりだした。「カップん中ぜんぶに氷をつめるんじゃねえ、わかったか。ふんわりのせろ。カップん中はなるべく空けろ。いいか。わかったか。」氷の量は厳しく制限された。もちろんシロップも例外ではない。自分のすぐ後ろにはひとりのおじさん。夜なのに黒いサングラスをかけ安っぽいキャンプで使うような折りたたみの椅子に腰を掛けている。量を間違うたびに足でつつかれた。軽くではあった。ただ、無言だった。

 

長い祭りが終わった。「おい、にいちゃん、イカ洗っとって」(ん・・・?)ちょっと意味がわからなかった。どうやらイカ焼きで売れ残ってしまったイカを水で洗うらしい。なんで洗うのか。表面についた焦げを落とすためである。落として次の祭りでもそのイカを使うらしい。うん、なるほどね。うん、なるほ、え?

洗うにしても水道らしきものはない。「あのー、それで洗う水ってどこにありますかね?」黙々とテントをバラしているおじさんに聞いてみた。おじさんは自分の4メートル後ろで顔をのぞかせるバケツを指差した。「あれ使え」(なるほどすぐ近くには海がある。そこの桟橋からか。なるほど、なるほど。。。)じぶんはその紐の付いたバケツを夏の夜の妙におだやかな海へ投げ入れ水をくみあげた。片づけに入り明かりもない現場で水の色はわからなかった。ただうす暗くまどろむなかでイカをぎこちなく揉んだ。

 

祭りの後はまた車に乗りアパートの部屋へ戻った。お菓子の空缶に入った売上金をおばちゃんが数え始めた。札とは別に小銭はタオルが入ってあっただろう紙箱に分け入れる。一通り計算が終わるとお金を盗んでないかカバンやポケットをチェックされた。

とっくに終業の予定時刻はすぎている。早く帰りたい。そんなことを思っているとさっきまで銭札が置かれていたテーブルにスプーンが準備された。どうやらごはんらしい。みんなでそのテーブルを囲みカレーライスを食べた。おばちゃんがつくってくれたものだろう。まずくはなかった。おかえりをすすめられたが、丁重に遠慮した、そして同じくはやく帰りたい気持ちであっただろうもうひとりのバイトと共に部屋をあとにした。

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