石膏デッサン#10 アリアス2回目ー印象はとらえた

石膏デッサン(アリアス)9/2-3/2014

制作時間11時間 木炭紙判M画用紙 

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 アリアスを描いた。アリアスは前にも描いたことがある。

  

今回は前回との腕の上がり具合を比較するために前と同じ位置で描いてみた。光源の場所は前回と逆で今回はやや逆光気味。逆光のモチーフは自分との距離が近く細かな描写が求められながらも陰面であることと、日向部分で明暗のコントラストや質感が出やすい場所ながら自分から遠くにあることという2点の関係性が描きにくさにつながっている。と、個人的には持っている。だけども上手く描ければ逆光はドラマティックな雰囲気を演出できるし美味しいのかもしれない。それにどちらかというと白とびするくらい光が全面にあたってるような全光状態のほうが描きにくいと思うし。 

 印象を大切にする。今回はそこを意識してデッサンをした。芸大の合格作品をみて思うに、像の印象と合っているデッサンが高い評価を受けている。どんなに細かな描写がされていても「あ、これアリアスじゃない、パジャントだ」という作品は点数がのびない。似てるか似てないか。これは大きなポイントだ。似せるためにはどうするか。単純に形の狂いがなければいい。どうすれば形の狂いがないようになるか。じぶんは2,3ヶ月前からはかり棒やデスケルの使い方を変えている。どういうことかというと、以前はなにかモチーフをデッサンするとき、計り棒でかたちをくみ取ってから鉛筆を走らせていた。今は違う。今は感覚的に描き始めちゃう。とりあえず、考える前に描く。そして描いたものをあとから計り棒などで形を確かめていく。昔は、最初で一発で形を決める感じ、今は完成のときに形があってればいい、描きながら治していくというスタイルに。この方法はうまくいっている。

 感覚的に描いていく方法によって、副次的な効果もうまれいてる。絵は「点で描く、線で描く、面で描く」といわれることがある。点と線と面で立体が生まれる。至極当然なことだけどそれを意識すると絵が生きてくる。一番最小の単位である「点」。きっと感覚的に描くことによって、モチーフのなかで特に眼に入ってくる特徴的な点をうまく抽出することができているのだと思う。ぱっと見たときに飛び込んでくる点。これ大事だ。同じように線も面も大事。ぱっと見たときに強く出てくる線や面がある。これを拾ってあげるとデッサンに緩急がうまれる。たとい、形があってなくともらしく描かれているかららしくみえるのかもしれない。

エスキース 描いている位置からや真正面、真横から見たときに像がどうなっているかを確認した。描いている場所から見えない部分の意識は重要。

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 2日課題で時間もあったので髪を省略することなくすべて描写してみることにした。アリアスの特徴っていったら大きな頭部と髪の毛だろうし、細かく描いても破綻なく仕上がると思ったので。

 石膏像のなかでもこの像はヘルメスの次に気に入っている。美大受験のモチーフになるような石膏像は男女とも豊かな胴体をしているけど、ことによってアリアスはそうでない。だけどその分、頭部が大きいし、髪の毛もうじゃうじゃとミミズの塊みたいになっている。顔はまるく、うっすらわらっていうようなせつなそうな感じ。顔は少しうつむいている。どこに惹かれるのかわからないけれど、なんかいい。なんかいいのだ。ちなみにヘルメスは身体のかたむきと、断面の形がものすごくお気に入り。あれいい。

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 途中経過。顔の細かな面を拾っている。身体はおざなりになっている模様。逆光側で描いているため、絵がどうなっているかわかりにくい。定期的に日の当たるところに絵を持っていき遠くから眺めてみることが大切だと言われた。確かにこのとき自分のデッサンは日向に持っていくと淡くコントラストの低いものになっていた。

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 そして完成。今回は間に合った。角のように盛り上がっている髪の毛が手前に挵り立っている様子を描写することができずにさぐったままに終わってしまったが。8Bの鉛筆を結構入れたのでかなり角の色が浮いてしまっている。しかし今回のデッサンは自分にしてはそこそこいいと思う。像の印象が合っている。それがいい点。ちゃんとアリアスを描いたんだなということがわかる。入試の合格レベルには全然届いていないが、また1歩ゴールに近づいた気がした。そんな手応えのある実技になった。

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 先生から立体感がまるでないことを指摘された。これはデッサンじゃない5分で描いたエスキースだと。イメージ画だと。存在感がないと。おっしゃる通りです。次は立体感を意識して制作しよう。そのためには像をまずは大まかな形にとらえること!それとタッチが丸見えだと言われた。もう少し描き込みの量も必要だったみたい。次は傑作作ってやる。

以下

講評での先生コメント

・像の印象を大切にする(例・ガッタメラータはしわっぽさ、荒々しさ、骨っぽさを出すなど)

・石膏像は真っ白なモチーフだが、それぞれが違う面によってできているので、同じ白さが2度と登場することはない。

・顔のパーツにとらわれて、顔の起伏などが奥に引っ込みすぎぬように。眼、鼻、口というように独立したパーツだと考えずあくまでも全体の中のパーツの一部として考える。

・アリアスの髪の毛は大きくいくつかの束と見立てる。

・アリアスは頭が重たいので、それを支える首の付け根をしっかりと描写する

・エスキースは小さいため、鉛筆が動かしやすく形がとりやすい。本番の木炭紙判画用紙に描くさいは大きく長い鉛筆で描くような気持ちで描くとエスキースの要領でかける。

・陰面に生っぽい色をのせると浮いて見える

・顔はアウトラインが目立つとお面をかぶっているようにみえる。